いざというときに慌てない!小値賀町の葬儀の流れを徹底解説

小値賀町に葬儀社は存在しません。
そのため、近隣住民や親族が協力しながら自分たちで葬儀の準備を整えていきます。しかし、最近では喪主が町外にお住まいであったり、高齢化による親戚の減少により混乱に陥るご家庭も見られるようになってきました。
そこで今回は、長寿寺住職である筆者が小値賀町の葬儀の流れを解説します。この流れに沿って頂ければ、葬儀の際に混乱することはないとお約束します。
目次
❶危篤
近年はほとんどの方が病院や施設で亡くなるため、事前に医師より危篤の際に告知をされるケースが多いです。告知を受けたら、まず家族や親族に速やかに連絡しましょう。
病院で亡くなった際には、看護師が浴衣に着替えさせることが多いので、病院に浴衣の有無を確認します。また、各所への支払いに備えて現金を用意しておくと良いでしょう。故人の口座は死後凍結されますので、ご注意下さい。
さらに、“喪主”を誰が務めるのかを決めておきます。喪主はその家の次期当主になり、お寺との付き合いなど今後の祭祀(年忌法事)を担っていく人が望ましいです。それらを含めて下記の備えをしておきましょう。
危篤の際に準備するもの
- 浴衣
- 現金
- 遺影
- 喪主決め
- 葬儀の際に連絡する人リスト作成
- 自宅の整理
自宅の整理
小値賀町では自宅で葬儀を行う“自宅葬”が主流なので、自宅にご遺体を搬送された際にご遺体を安置する布団を仏間に用意します。
ご遺体を暖めないよう薄手のもので、新品もしくは洗濯したての清潔なものが好ましいです。また、縁側からご遺体が出入りするので、縁側を整理すると良いでしょう。
❷臨終

医師による死亡判定が下されると、故人の唇を末期の水(脱脂綿に水をつけたもの)で湿らせます。診療所で亡くなられた場合にはエンゼルケアといって、ご遺体をタオルなどで清拭するなどの処置が看護師によって行われ、死装束については診療所の方で用意してもらえます。
そして、医師より死亡診断書を受け取り、死亡届を作成して、亡くなったことを各所に連絡します。
ご遺体を安置する際には、自宅の仏間に用意しておいた布団に北枕(お釈迦様が亡くなられたときのご様子を模倣したもの)で寝かせます。
そして、布団の脇に“枕飾り”として白木の机や台(もろ蓋やお盆でも可)の上に用意します。さらに棺など葬儀に必要なものを手配します。
この際に一人でやると大変なので、ご家族で分担するといいでしょう。
亡くなったことを各所に連絡
- 家族・親族
- 地区会長
- お寺(枕経)の依頼
小値賀町の場合は地縁も大切なので、地区会長に連絡することも忘れないようにして下さい。
枕飾り
- 燭台
- 花立(水を入れずに菊などを一輪挿す)
- 香炉(線香立て)
- 浄水(コップに水を入れる)
- 枕飯(故人愛用の茶碗にご飯を山盛りにして箸をたてる)
- 枕団子(小値賀では“はながら団子”と称し、小石大の団子を六つ作る)

手配するもの
- 棺などの葬儀セット【ききょう屋(小値賀町内)・ヒガシヤ(小値賀町内)で注文可】
- 会葬礼状【晋弘舎(小値賀町内印刷屋)で注文可】
- 会葬返礼品(タオルなど)【ききょう屋(小値賀町内)で注文可】
- ドライアイス【ききょう屋(小値賀町内)で注文可】
- お葬式後の会食の弁当などの注文
- 死亡届の提出・火葬場の予約【小値賀町役場】
- 霊柩車・バスの手配【小値賀交通】
- 棺の運び出しの依頼(6人は必要。通常は親戚などに依頼するが人手不足の場合は小値賀町役場に相談する)
❸枕経・打ち合わせ
菩提寺の僧侶による枕経が勤められます。これは仏教において臨終の際の説法が行われていたことに由来し、納棺前にお勤めされます。
その後にお葬式に向けて僧侶と遺族とで打ち合わせを行い、葬儀の日時や戒名のことなどが話し合われます。
枕経と打ち合わせが終わり、僧侶が帰るとご遺体を納棺をします。
納棺の際には、故人に下記の死装束を施します。ご遺体に身に付けさせることが難しい場合はご遺体の上に乗せるだけでも結構です。
納棺
- ドライアイス(ご遺体の周りを囲むように配置する)
- 数珠(両手を合掌させて掛ける)
- 守り刀(棺の上におく)
- 経帷子(巡礼服代わり)
- わらじ
- 足袋
- 手甲(手の甲につける)
- 脚絆(脛につける)
- 頭陀袋(首からかける)
- 六文銭
全てが揃わないときもありますので、状況に応じて身に付けさせて下さい。
❹お通夜
今日、“お通夜”というと葬儀前夜に僧侶が読経することを指すようなりましたが、本来は故人のそばで遺族が夜を明かすことを意味します。小値賀町で“お通夜”という場合も僧侶の読経ではなく、後者の本来的な意味です。
また、それとは別に夕方になると故人と交流のあった方々が弔問に来られますので、喪主が応対します。弔問客が葬儀に参列されるか分かりませんので、会葬返礼品を渡しましょう。
夜が更けて弔問客が落ち着いてきた段階で、下記のことを準備します。特に葬列の順番や持ち物は忘れずに決めておきましょう。
お通夜の際にやっておきたいこと
- 斎場で弔電を読み上げる役(司会者不在のため縁者が務める。三通以下は本文省略し芳名のみを読み上げる)
- 弔電の芳名にルビを振る(本番で詰まらないように)
- 会葬御礼の挨拶(喪主の役目)
葬列の順番
- 親代(線香):葬儀委員長・地域の長老格が持つ
- 六道
- 無常幡
- 念仏衆:集落に唱えられる人が居ない場合は省略
- 導師:菩提寺僧侶
- 香炉
- 花(銀紙の花):遺族
- 水:遺族
- 茶:遺族
- 御飯:喪主の妻
- 遺影:遺族
- 位牌:喪主
- 長灯籠
- 棺
- 天蓋
『小値賀町郷土誌』を参考にして記しましたが、地域によっては順番が前後したり、『親代』~『念仏衆』、『長灯籠』が省略されます。また、人数不足で持ち手が足りない場合は水・茶・御飯をお盆などにまとめて持つなどの工夫もできます。
❺葬儀・火葬

小値賀町では、まず自宅で葬儀を行います。僧侶が読経した後にお供えされた花を切り取り、ご遺体の顔まわりなど周囲におきます。その際、故人の愛用品などがあれば入れて下さい。なお、眼鏡や金属製品は納棺できません。
支度が整うと出棺です。都市部では「出棺」は葬儀・告別式後、火葬場に向かうタイミングを指しますが、小値賀町では自宅から斎場に向かうタイミングを指します。出棺の際にはご遺体の足を前に向けるようにして縁側から運び出し、事前に決めておいた葬列を組みます。また、故人が使っていた茶碗を玄関先で割ります。
斎場に到着すると、入口の前で“右繞三匝(うにょうさんそう)”といって、棺を中央にしてその周囲を右回りに三周回ります。これはインドにおける敬意の表し方で、仏典ではお馴染みの光景です。
斎場での葬儀が始まると、僧侶の読経の合間に“弔電奉読”と“会葬御礼の挨拶(喪主)”があります。それぞれ僧侶から案内があると思いますので、それに従って下さい。
葬儀が終わり次第、そのまま火葬場に移りますので係員の指示に従って下さい。収骨の時間についても係員より案内があります。
さいごに
長々と解説してきましたが、筆者は本来このように葬儀のテンプレートを作成することはあまり望ましいものではないと考えています。
なぜなら、小値賀町内であっても、それぞれの地区によって継承されてきた伝統のお葬式のやり方があり、テンプレート化はそれを排除してしまう可能性があるからです。
それでも、このような記事を作成したのは高齢化により葬儀を取り仕切る人の不在と喪主や遺族が町外に住んでいるケースでは暗中模索の状態になることが多々見られるからです。
もし、このテンプレートと地区のやり方が異なれば、地区のやり方に従って下さい。
煩雑なことが多く、もっと簡素にやれるように思う方もいらっしゃるでしょうが、今日の葬儀の内容は古人が大切な人を見送るにあたって最善の形として受け継がれてきたものです。
大切な人を見送るに当たって、「あれもこれも」となる気持ちは皆さんも理解できるのではないでしょうか。可能な限り、踏襲して頂きたいと思います。
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