供養とは?意味と由来をわかりやすく解説
供養とは、相手に敬意を示すものです。
これは、供養の本質になるのですが、辞書で「供養」とひいても、「死者の霊に供え物をして、死者の冥福を祈ること」などと解説されるばかりで、肝心の本質に関する解説が抜けているものばかりです。
そこで、今回は、
- 供養の由来
- なぜ、供養を行うのか
- 寄付との違い
について丁寧に解説します。
この記事を読んで頂ければ、今後の供養が、より中身のあるものになることをお約束します。
目次
供養とは
「供養とは何か」「なぜ、供養を行うのか」「寄付との違いは」といったことを詳しく解説します。
本章で、供養についての理解を深めて頂きたいと思います。
供養の由来
供養という言葉は古代インド語の一種であるパーリ語では“ pūjā (プージャー) ”といいます。
インドにおける賓客をもてなす儀礼に由来すると考えられ、その対象は、死者だけでなく生きている人にも及びます。
原語は、敬意をもって、ねんごろにもてなすこと、特に神々、祖霊や動植物の霊、さらには尊敬すべき人などに対して、供犠や供物を捧げること、また、それによって敬意を表すことを意味する。
仏教では仏・法・僧の三宝(さんぽう)や父母・師長・亡者などに香華(こうげ)・灯明(とうみょう)・飲食(おんじき)・資材などの物を捧げることをいう
『岩波仏教辞典 第二版』
ここには、はっきりと生きている人として、尊敬すべき人・仏・僧・父母などと列記されています。
なぜ、供養を行うのか
供養は、相手に対する自らの思いを表に出すために行われます。
よく「気持ちが大事」と言われますが、気持ちや心は内に秘められたもので見えないもので、それを表に出すのが、言葉や行動であり、供養なのです。
平家物語の冒頭には、「祇園精舎の鐘の声~」とありますが、この祇園精舎の因縁譚を読むと、見えない気持ちを表に出すことの大切さがわかります。
祇園精舎は、仏教僧団の僧侶たちの居住地で、アナータピンディカと呼ばれた長者によって建立されたと伝わります。精舎の建立を希望したアナータピンディカは、適地を見つけますが、その土地はジェータという太子の土地でした。
譲ってほしいと頼むアナータピンディカにジェータ太子は「この広大な土地のすべてに金貨を埋め尽くしたら譲ってやる」と言って、アナータピンディカの気持ちを量ろうとします。
すると、その通りにアナータピンディカが金貨を敷き詰め始めたので、ジェータ太子はその気持ちを認めて、土地を寄付しました。
このように、気持ちを行動、表に出すことで、伝わるものが必ずあります。
寄付との違いは
供養を意味するパーリ語のpūjā (プージャー)は、仏典を読むと、盛んに登場する言葉です。
信者の方が花や食事などをお釈迦様や僧侶に差し上げる際には、頻繁に用いられるのですが、よく仏典を読んでいくと同じような使われ方をしている言葉に出くわします。
それは、寄付を意味する“dāna (ダーナ)”という言葉です。
両者は非常によく似た言葉なのですが、決定的に異なる点があります。
それは、dānaは相手が目下でも同等でも選ばずに使われますが、pūjā は目上の相手にしか使われない点です。
ここにも、供養に敬意が込められているのが表れています。
まとめ
本記事では、供養の由来、供養を行う意味について解説しました。
供養は、単なる形だけのものでは決してありません。私たちの中にある相手への敬意を表に出す大切な手段です。
これから、供養を行う際には、このことを心に留めてほしいと思います。
《参考文献》
『岩波仏教辞典』岩波書店
『新アジア仏教史01』佼成出版社
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